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球場の「看板広告」はいくら?バックネット裏からフェンス際まで、値段と費用対効果をガチ調査

プロ野球中継は「3時間のCM」である

プロ野球の試合中継を見ているとき、あなたの視界には何が入っているでしょうか? 投手、打者、捕手、審判。そして、その背後に映り続ける「企業の看板」です。

1試合平均3時間。これほどの長時間、視聴者の視界に特定の企業ロゴを露出させ続ける広告媒体は、テレビCM以外には存在しません。 球場とは、野球をする場所であると同時に、巨大な「メディア空間(放送スタジオ)」でもあります。

では、あの看板には一体いくらの値段がついているのでしょうか? 「バックネット裏」と「外野フェンス」では、値段に10倍以上の開きがあることをご存知でしょうか?

今回は、球場という巨大ビジネス空間における「不動産価格(広告料)」の相場と、そこに広告を出す企業の「黒い(賢い)戦略」を解剖します。


1. 広告料の「格差社会」マップ

球場の看板広告の値段は、「テレビカメラに映る頻度」で決まります。 球団や球場(東京ドームか地方球場か)によって価格は大きく異なりますが、一般的な相場(年間契約料)の序列は以下の通りです。

① 絶対王者:バックネット裏(本塁後方)

  • 推定価格: 8,000万〜1億5,000万円 / 年
  • 特徴: 投手が投げるたびに必ず映る「特等席」。

ここは広告界のファーストクラスです。 1試合で投手が投げる球数は両チーム合わせて約250〜300球。つまり、「300回の露出」が約束されている場所です。 視聴者は無意識のうちに企業名を刷り込まれます。アサヒビール、トヨタ、セブン-イレブンなど、日本を代表するナショナルクライアントがここを占拠するのはそのためです。

② 準主役:ベンチ内・ダグアウトの壁

  • 推定価格: 3,000万〜6,000万円 / 年
  • 特徴: 監督の采配や、ホームランを打った選手がハイタッチするシーンで「アップ」になる場所。

ここは「ドラマが生まれる場所」です。 大谷翔平選手のようなスターがベンチに座っているとき、カメラはずっと彼を抜きます。その背後にある広告は、ニュース番組やSNSで切り抜かれ、世界中に拡散される可能性があります。「バズり期待値」が最も高いエリアと言えるでしょう。

③ 量産型:外野フェンス

  • 推定価格: 500万〜1,500万円 / 年
  • 特徴: 外野手がボールを追う時や、ホームランの時だけ映る。

数は多いですが、常時映るわけではありません。 しかし、ホームランボールが直撃した際の「看板直撃弾」などのインパクトは絶大です。地元の優良企業や、BtoB企業が「お付き合い」や「地域貢献」として出すケースが多いエリアです。

相場リスト

【参考:主要球場の広告看板料金(推定)】

■ 東京ドーム(巨人)
・バックネット裏:1億5,000万円〜 / 年
・内野フェンス:4,000万円〜 / 年
・外野フェンス:1,500万円〜 / 年

■ 地方球場・屋外球場
・バックネット裏:3,000万〜5,000万円 / 年
・外野フェンス:300万〜800万円 / 年

※上記は過去のメディア掲載情報や代理店資料に基づく推定値であり、
契約年数や露出範囲によって大きく変動します。


2. なぜBtoB企業(素材・機械メーカー)が広告を出すのか?

看板広告をよく見ると、「一般消費者が知らない会社(工作機械メーカーや化学素材メーカー)」が多いことに気づきませんか? 「不二サッシ」や「日東電工」など、スーパーで商品を買わない企業の広告が多いのには、明確なビジネス上の理由があります。

狙いは「売上」ではなく「信用」

彼らは商品を売りたいのではありません。「採用」と「融資」を有利にしたいのです。

  1. 就活生へのアピール: 「親に『聞いたことない会社だからやめておけ』と言われたけど、『ドームに看板出してるあの会社だよ』と言ったら納得してくれた」。 これは採用現場でよくある話です。球場広告は、「この会社は潰れない」という最強の証明書になります。
  2. 銀行・取引先への展示: 「プロ野球のスポンサーになれるほどの体力がある」と見せることで、与信管理上の評価を高める狙いがあります。

つまり、看板広告の費用の出どころは、広告宣伝費というより**「採用活動費」「ブランディング費」**に近い性質を持っているのです。


3. 回転式広告とバーチャル広告の技術革新

かつて看板は「ペンキで描いた絵」でしたが、ビジネスの進化とともに形を変えています。

バックネット裏の「回転寿司」システム

最近のバックネット裏は、液晶パネルや回転式ロールになっており、イニングごとに広告主が変わります。 これにより、

  • 「1社独占(1億円)」 ではなく
  • 「3社でローテーション(各4,000万円)」 という切り売りが可能になりました。球団側は枠を増やせて儲かり、企業側は少し安く一等地に広告を出せる。Win-Winのモデルです。

テレビ視聴者しか見えない「バーチャル広告」

メジャーリーグ中継などでよく見ますが、バッターボックスの後ろの壁に、現地の観客には見えないけれど、テレビ画面上では広告が表示されている技術があります。 これにより、「日本向けの放送には日本の企業の広告」「アメリカ向けの放送には米企業の広告」を出し分けることが可能になりました。 これぞまさに、空間を超えた広告ビジネスの最先端です。


4. 費用対効果(ROI)は合うのか?

年間1億円も払って、元は取れるのでしょうか? 広告業界の一般的な指標であるCPM(1,000回表示あたりのコスト)で計算すると、プロ野球の看板広告は**「意外と割安」**だと言われています。

  • 地上波・BS・CSでの生中継: 数十万〜数百万人が視聴。
  • ニュース番組: スポーツコーナーで毎日リプレイされる(無料の2次利用)。
  • YouTube・SNS: ハイライト動画が半永久的に残る(ストック資産化)。

たった1回の30秒CMをゴールデンタイムに流すのに数千万円かかることを考えれば、「年間通して毎日映り、ニュースでも取り上げられ、YouTubeにも残る」看板広告は、長期的な認知獲得において非常にコスパの良い投資なのです。


まとめ:球場は「日本経済の縮図」である

球場の看板を見れば、今、日本のどの業界が景気が良いか分かります。

主な業種

  • 昭和: 家電メーカー、自動車メーカー
  • 平成: サラ金、パチンコ、ITベンチャー
  • 令和: アプリゲーム、M&A仲介、人材派遣

もし次に球場に行ったりテレビ中継を見たりする時は、プレーだけでなく「背景の看板」に注目してみてください。 そこには、選手たちの年俸を支え、日本経済を回している「企業たちの熱いアピール合戦」が繰り広げられているのです。

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